神社の境内には必ず「注連縄」(しめ縄)がありますが、その意味や種類、しめ縄の向きや、紙垂の役割については、ご存じない方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、お正月には一般家庭でも使用する「注連縄」(しめ縄)の世界を、ご紹介したいと思います。
神社境内に注連縄(しめ縄)がある意味とは?

出展:まるごとeちば
神社において重要な役割をしているものがります。それが「注連縄」(しめ縄)です。神社のあちらこちらに必ずあります。必ずあるという事は、そこに何らかの意味があるはずです。
今回は、この「注連縄」(しめ縄)の正体を解明してみたいと思います。
「注連縄」(しめ縄)は何のために神社にあるの?
「しめ縄」は、稲や麻などの藁(わら)などを材料にして縄を編みます。右撚りと左撚りがあります。 通常の縄は右回りで巻き(右綯い)ますが、しめ縄のように神様に関わる場合は左回りで巻き(左綯い)ます。神道においては、左を優先にするという考えがあるためです。右綯いは日常品に使い、左綯いは神聖なものに使うものとして区別していたようです。
注連縄の「しめ」とは「占める」ことを指し、縄が神域と俗界を分けるものであることを表します。神の領域(鳥居より神社側)と現世を隔てる結界を作るという意味があり、神の領域に不浄なものが入らないようにする役目を担っているのです。
注連縄(しめ縄)の種類

出展:http://www.741.cc/Bonhu/kami06.htm
- 前垂注連:細いわらで編んだしめ縄に、細い̪「〆の子」と 紙垂(かみしで)を垂らしたもので、七五三縄とも言います。(わらを左縒(よ)りにし、三筋・五筋・七筋と順次にひねりたらし、その間に紙の垂(しで)を下げる。)
- 大根締め:中央を太くし、両端を細くした注連縄に、太い「〆の子」と 紙垂(かみしで)を垂らした注連縄。
- ゴボウ締め:片方だけ細くした注連縄で、向かって右が太く、左側が細くなるようにかける注連縄。
七五三縄も(しめなわ)と読むの?その意味は?

七五三縄と書いて(しめなわ)と読むのは、理由があります。
- シメの子と呼ばれる藁を、七本・五本・三本としめ縄に挟み込んで垂らすことからきているという説からです。
- しめ縄の七番目、五番目、三番目の位置に紙垂(かみしで)と呼ばれる白い紙のビラビラを垂らすことからきているという説です。
以上の二つの説は、 陰陽道の影響を受けているとも言われ、七・五・三は陽数(奇数のこと)であることから、神域に陰が入らないように封じる込めるという意味があります。
注連縄(しめ縄)の向きは左右どうする?神棚も玄関も同じ?
注連縄の左右の向きは、どのようにすれば良いのでしょうか?
普通一般的な神社は、社殿に向かって右側が上位とされています。従って、縄の綯いはじめである太いほうを右側に、細いほう(縄の綯い終わり) を左側にして飾ります。
神様側から見たら、左側に太い方、右側に細い方が来るようになります。前にも述べたように、神道においては、左を優先にするという考えがあるためです。右綯いは日常品に使い、左綯いは神聖なものに使うものとして区別していた為です。
神棚や玄関にしめ縄を飾るときの向きは?

出展:http://www.kamidana.co.jp/knowledge/balance
しめ縄を飾る時は、玄関や神棚に関係なく同じ向きで大丈夫です。 一般的には向かって右側にしめ縄の太い方がくるようにし、左側に細い方がくるようにに飾ります。
あくまでも一般的な注連縄の飾り方ですが、これが全てではありません。神社や地方によっては、これとは全く逆向きに飾る所もあります。この代表的な神社は、出雲大社や伊勢神宮です。この飾り方のいわれは別として、一般的なしめ縄の飾り方を覚えておけば神様に失礼にはならないので大丈夫です。
しめ縄の紙垂(かみしで)の意味と役割りとは?
紙垂(かみしで)の折り方は幾つかの流儀があるようですが、いずれも稲妻が走ったような感じです。この紙垂の意味は、どこから来ているかというと、落雷があると稲が育ち豊作なので、紙垂はこの雷光や稲妻をイメージし、邪悪なものを追い払うという意味があるそうです。
紙垂を注連縄(しめなわ)に垂らして神域に用いた場合は、聖域を示す象徴となります。
また、紙垂は玉串にも使用します。玉串に紙垂をつける意味は、祓い清める意味をもち、祓具(はらいぐ)として用いられます。
祓(はらえ、はらい)とは、神道の宗教行為で、災厄などの不浄を心身から取り除くための神事のことを指します。
紙垂の付け方はどうする?
紙垂はしめ縄の縄目に、同じ間隔ではさみます。紙垂の枚数は3枚・5枚・7枚が一般的とされていますが、 特にルールはないようです。ただし、それぞれの地方や神社によってのルールがある所もありますので、事前に確認しておいたほうが良いと思います。
注連縄(しめ縄)をお正月に飾る理由は?
お正月の行事というのは、年神様という新年の神様をお迎えするための神道の行事です。年神様は各家々にやって来て、幸せを授けてくださると考えられています。従って、お正月が近づくとしめ縄やしめ飾りを施し、年神様を迎える準備をするのです。
もともとは、自分の家が年神様をお迎えするのにふさわしい神聖な場所であることを示すために始まったと言われています。「しめ縄」や「しめ飾り」を施すことで、その内側が清らかな場所であり、魔除けにもなると言う理由から、年神様が安心して来てくださるという事です。
注連縄(しめ縄)としめ飾りの違いは何?
しめ飾りと言うのは、しめ縄に縁起物などの飾りをつけたものを言います。神様の降臨を表す「紙垂」(かみしで)、清廉潔白を表す「裏白」、子孫繁栄を願う「譲り葉」、代々栄えるように願う「橙」、 喜ぶの「昆布」などを注連縄に飾ったものです。
- 裏白(うらじろ): 裏表のない清らかな心で一年を過ごせますように ・・
- 譲り葉: 子孫が途絶えないように ・・
- 橙 (だいだい): 代々繁栄しますように・・
- 昆布:喜ぶ
しめ飾り・しめ縄を飾る時期は?
「しめ縄」や「しめ飾り」は、本来は12月13日のすす払いが終わって綺麗にしてから、その場所が年神様をお迎えするのにふさわしい場所になってから飾るものでした。このため、12月13日を「正月事始め」といいます。正月の準備を始める目安の日となっています。
現在では、 大掃除が終わって「年神様」を迎える準備が整ってから「しめ縄」「しめ飾り」を飾るようになっています。飾る時期は12月13日以降であれば構いませんが、クリスマスというイベントも控えていますので、12月25日以降に飾るのが一般的となっています。
「しめ縄」「しめ飾り」を飾る時期は、あまり遅くならないように気をつけて下さい。遅くても12月28日までには飾るようにしましょう。 12月29日は「二重苦」「苦」に通じて縁起が悪いとされています。また、12月31日も「一夜飾り」となるので避ける風習があります。
しめ縄・しめ飾りを外す時期は?松の内とは?
正月の年神様をお迎えし、「松の内」を過ぎたら外しますが、一般的には7日、地域によっては15日に外します。
松の内とは「玄関前に門松が飾られている期間」のことを指しており、お正月飾りを片付ける期間として使われる言葉としです。
一般的には松の内というのは現在の暦では1月7日頃までを松の内といいます。 一般的には1月7日までが松の内と言われる期間ですが、そのほかでも10日、15日までが松の内とされている地域もあるようです。 これには地域によって差があるようです。
松の内の明ける時期は地域で違いがありますが、松飾りを片付けたり、鏡開きを行ったりして、お正月のお祝いも「松の内」が明けることによって終わりを迎えます。
「しめ飾り」や「しめ縄」を処分する日や捨て方!
取り外した「しめ縄」や「しめ飾り」は、どのようにしたらいいのか、迷ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「しめ縄」や「しめ飾り」は、 「歳神様」と呼ばれる年神様が訪れる時の目印となる神具で、とても大切なものですから、処分するときにもきちんとした手順が必要なのです。
「しめ縄」や「しめ飾り」を外したら、15日(あるいはその頃)に地域や神社などで行われる左義長(どんど焼き)で焼きます。左義長に持っていけない場合には、神社に納めるのが良いと思います。
どうしても無理な場合には燃えるごみとして出しますが、神聖なものですから、ほかのごみと別にしたり、紙に包んだり、清酒や塩で清めたりする事が、最低限のマナーだと思います。
コメント